高校入試模試概要
中学3年生になると、
それまで受けてきた500点満点のテストとは別に、
富山県の高校入試の形式に合わせた200点満点のテスト(実力テスト)を
学校で受けることになります。
複数回受ける実力テストの結果も考慮したうえで、
学校の先生は生徒の進路指導を行います。
ただし、近年は学校の先生が深く踏み込んでアドバイスすることは減少してきており、
どこの高校を受験するかは生徒側が主体的に決めなければいけません。
保護者や生徒自身が受験に対する十分な知識を持っていればいいのですが、
実際は多くの人が十分かつ正確な情報を得られないままに
受験校を判断せざるを得ないのが現状です。
そのため、多くの人たちが学校以外で受験する外部模試の結果を基に受験校を決めています。
このページでは、富山県の多くの中学3年生が受ける2つ外部模試
「育英模試」と「全県模試(旧:全統模試)」について解説します。
模試の受験者について
下の表は各回の育英模試と全県模試の受験者を載せた表です。
表から分かる通り、現在は育英模試を受ける人の方が多くなっています。
また、第5~7回のいずれかの模試を受けた人は5000人を超えています。
2015年度の富山県の中学3年生の人数が10103人でしたから、
半分以上の受験生がいずれかの模試を受けていることになります。
さらに言うと、スポーツ推薦で進学する人や勉強が苦手な人、
つまり私立専願で受験する人は外部模試を受けない傾向があることを考慮すると、
県立高校を受験する多くの人が外部模試を受けていると思われます。
<2015年度の各回の育英模試・全県模試の受験者>
育英模試受験者 | 全県模試受験者 | |
第4回(11月) | 2529 | 1948 |
第5回(12月) | 2939 | 2353 |
第6回(1月上旬) | 3136 | 2401 |
第7回(1月下旬) | 3037 | 2140 |
※参考 2015年度の富山県の中学3年生の人数は10103人
模試の平均点について
下の表は2つの模試に加えて、
学校の実力テストの点数、県立入試の点数をまとめたものです。
表を見れば分かる通り、それぞれのテストの点数は大きく異なっています。
<各テストの5教科合計平均点>
5教科合計(200点満点) | |
学校の実力テスト |
107 |
育英模試 | 127 |
全県模試 | 112 |
県立入試 | 122 |
※問題の難易度によって、平均点は±10点ほど変動する
※学校の実力テストの平均点だけは、各学校によって大きく異なる
上記の学校の実力テストの点数は、高岡・氷見・新湊・小杉など10校以上の中学校の生徒を
指導してきたうえで河南個人が示した目安値であることに留意
<学校のテストの点数が一番低いのはなぜか?>
勉強が苦手な人は模試を受けることを避け、
私立に進学することをすでに決めた人は県立入試を受けません。
よって、結果的に模試や入試では勉強が得意な人の割合が高くなるので、
それらのテストの平均点は高くなります。
それに対して、学校の実力テストは
勉強が苦手な人も含めて全て生徒が受けなければならないので、
相対的に低い点数になります。
さらに県立入試の点数が高い理由についてもう少し言及すると、
一番最後に受けるテストなので
単純に受験者の学力が上昇しているという理由も挙げられます。
<育英模試の点数の方が全県模試よりも高いのはなぜか?>
育英模試の平均点と全県模試の平均点を比較すると、
明らかに育英模試の平均点の方が高くなっています。
可能性を考えれば、「問題の難易度に差があるから」ということも考えられますが、
実際はそうではありません。
この理由は『受験者の学力に偏りがあるから』です。
育英模試の場合、模試の受験者に送る資料に「高校別志願情報」を掲載しています。
この情報を見れば、今回模試を受けた人たちが
どこの高校を第一志望にしているのかといったことが分かります。
(なお、全県模試も以前はこのような情報を公開していましたが、現在は公開しなくなりました。
全県模試の受験者は、他の人の志願状況を把握することができません。
ただし、全県模試の主催団体に加盟している塾関係者にだけは知らせています。)
下の表は、模試毎に各高校の第一志願の人数をまとめたものです。
<育英模試と全県模試における各高校第一志望の人数と全受験者人数>
育英模試 |
全県模試 | |
高岡高校 |
260 | 64 |
砺波高校 | 144 | 57 |
高岡南高校 | 119 | 77 |
小杉高校 | 36 | 54 |
伏木高校 | 8 | 19 |
全受験者人数 | 3035 | 2518 |
※育英模試は「平成23年1月9日」実施のもの、全県模試は「平成23年12月11日」実施のものです
これらの模試の実施年度と実施月は異なっています
正確かつ公正な比較をするためには実施年度と実施月をそろえるべきですが、
この違いが受験者動向に与える影響は大きくないため、比較は十分可能です
昔の資料の一部を破棄してしまったため、このような比較方法となっています
<参考:上記回の模試の平均点>
育英模試 |
全県模試 | |
平均点 | 133 | 105 |
注目するべきは、全受験者に占める各高校の志願者の割合です。
育英模試の全受験者人数は全県模試の約1.2倍ですから、
模試受験者の学力に偏りが無ければ、
各高校第一志望の人数も同様に約1.2倍の人数になっているはずです。
しかし、実際はそのようにはなっていません。
進学校である「高岡高校」「砺波高校」「高岡南高校」を志願する人数は
育英模試の方が明らかに多く、
進学校ではない「小杉高校」「伏木高校」を志願する人は、
全県模試の方が多くなっています。
つまり、育英模試受験者は勉強が得意な人の割合が高くなり、
全県模試受験者の方は勉強が苦手な人の割合が高くなります。
そのため、育英模試の平均点の方が高くなっているわけです。
県全体の中で自分の学力を測ることを目的に
外部模試を活用する人がいると思いますが、
それぞれの模試の平均点には歪(ゆが)みがあるため、
「平均点を使って県内での自分の立ち位置を把握すること」は適切ではありません。
その点には気を付けたほうがいいと思います。